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年女、新年に龍を求めて江の島を訪れる

2024年、辰年がスタートした。辰年生まれの私は年女となる。
小学生の頃は、自分の干支が気に入らなかった。龍は難しくて年賀状の絵柄も上手に描けないし、何より十二支の中で唯一実在しない動物ではないか。早生まれの私は、多くの同級生の干支であるウサギを羨ましく思うばかりであった。「龍、かっこいいからまあいいか」という境地に至ったのは大人になってからのことだ。

「いい龍がいる」と聞いて、いても立ってもいられず

干支に関して、私には毎年恒例としている行事がある。干支の動物遊具にライダー姿でまたがる「十二支ライダー」、そして干支にゆかりのある寺社に初詣に行く「動物初詣」だ。

十二支ライダーは2012年の辰年からスタートして、昨年で一巡した。これを一区切りとして止めるかどうか悩んだが、「綾瀬の下河原公園にいい龍がいる」という情報を知り、いても立ってもいられず、年末に撮りに行ってしまった。これで今後12年、還暦になるまでライダー姿で動物遊具にまたがる将来が約束されたわけだ。

本格的ながら、表情やカラーリングがかわいらしい龍。

本格的ながら、表情やカラーリングがかわいらしい龍。

年が明け、今度は動物初詣をするべく龍にゆかりのある寺社を探す。金・黒・白・赤・青の五龍神を祀る田無神社では、五色の龍をかたどった「新五龍神みくじ」が頒布されていると聞き、早速正月3日に訪れた。

どこもかしこも混雑していて、結局のぼりしか撮影できなかった田無神社。

どこもかしこも混雑していて、結局のぼりしか撮影できなかった田無神社。

ただでさえ初詣で混雑する田無神社は、辰年ということもあってか、神社をぐるり一周するほどの参拝客の大行列、さらに五龍神みくじも品切れであった

新五龍神みくじは、2月以降の頒布となるそう。

新五龍神みくじは、2月以降の頒布となるそう。

私は打ちひしがれて西武線で帰宅した。

もっと龍にまみれたくて、江の島へ

せっかく辰年の年女なのだから、もっと龍にまみれたい。手軽に行ける龍スポットはないか。その時ふと頭に浮かんだのが、江の島である。江の島は、5つの頭を持つ五頭龍と天女の伝説が残る島であり、江島神社をはじめとして島のあちらこちらに龍があしらわれている。これは辰年に訪れるのに最適ではないだろうか。

小田急・片瀬江ノ島駅を降りると、駅舎からして竜宮城のデザインだし、江の島に続く地下道入り口や橋のたもとにも龍がいる。これは期待大だ。

2020年にリニューアルされた駅舎は、より一層竜宮城らしくなっている。

2020年にリニューアルされた駅舎は、より一層竜宮城らしくなっている。

江の島へ続く地下道の入り口には、天に昇るモダンなイメージの龍が。

江の島へ続く地下道の入り口には、天に昇るモダンなイメージの龍が。

弁天橋では、両脇の灯篭を龍が支える。

弁天橋では、両脇の灯篭を龍が支える。

江の島に入り、土産物店を抜けて階段を上ると江島神社の辺津宮に到着する。この辺津宮には龍の吐水口をあしらった手水舎や、白龍の銭洗い池などがある。

そもそも龍神は水をつかさどるので手水舎に配置されることは多いが、江の島だと特別に見える。

そもそも龍神は水をつかさどるので手水舎に配置されることは多いが、江の島だと特別に見える。

龍神は財宝福徳の神としても信仰されているとのこと。

龍神は財宝福徳の神としても信仰されているとのこと。

辰年の新年だからか、大絵馬の前にも龍が設置されていた。

龍舞の子供たちがかわいらしい。

龍舞の子供たちがかわいらしい。

龍にまつわる授与品も豊富で、色々と買い求めながら先へ進む。

大きなサイズの白い土鈴もある。

大きなサイズの白い土鈴もある。

龍の顔があしらわれた龍神守。

龍の顔があしらわれた龍神守。

龍神みくじは緑、白、黒の3色があった。

龍神みくじは緑、白、黒の3色があった。

中津宮を経て奥津宮までたどり着くと、その横に龍神信仰に基づく龍宮(わだつみのみや)がある。岩屋洞窟の奥にある岩屋本宮の真上に建立されており、岩の上には巨大な龍が鎮座している。

真下に立つと迫力がある。

真下に立つと迫力がある。

この近くには、五頭龍と天女との恋物語にちなんだ「龍恋の鐘」もあり、デートスポットにもなっている。

願い事を書いた南京錠を周辺の金網に付けるカップルも多い。

願い事を書いた南京錠を周辺の金網に付けるカップルも多い。

帰りには土産物店で龍グッズを買い求め、

みやげ物店の店先にあるガチャガチャもドラゴン仕様。

みやげ物店の店先にあるガチャガチャもドラゴン仕様。

仲見世通りのガラス細工店で購入した、セクシーな弁天様と龍。箸置きと書いてあったが、裏にマグネットが付いている。

仲見世通りのガラス細工店で購入した、セクシーな弁天様と龍。箸置きと書いてあったが、裏にマグネットが付いている。

江ノ電・江ノ島駅近くの龍口寺にも寄り、ホクホクで帰路についた。

幕府を批判した日蓮が処刑されそうになった龍の口刑場跡もある。

幕府を批判した日蓮が処刑されそうになった龍の口刑場跡もある。

しかし、実は江の島の奥の岩屋(第二岩屋)には、手を鳴らすと稲光が走る龍神様の像がいたのである。なぜ私は岩屋に行かなかっただろう。もしかすると、他にも気づかなかった龍がいたかもしれない。辰年のうちにもう一度、江の島へ龍探しの旅に行こうと決意するのであった。

イラスト・文・写真=オギリマサホ

オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書『斜め下からカープ論』(文春文庫)。

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