農業(援農)ボランティアとは、高齢化や担い手不足の農家を支援するために農作業をお手伝いする活動です。農業ボランティアの種類や作業内容、探し方などを紹介しており、未経験者でもわかりやすい内容となっています。農業に興味がある、農業の手伝いがしたいという方はぜひ本記事を参考に農業ボランティアに参加してみてください。
この記事の目次
農業ボランティアとは
農業ボランティアとは、人手に困っている農家へボランティアスタッフとして赴き、農作業を行う活動です。「援農」とも呼ばれています。
近年、高齢化や過疎化が進む地域では農業従事者が減少し、深刻な人手不足に陥っています。そのため、多くの地域で農業ボランティアの募集が行われるようになりました。
農業ボランティアは、労働力不足の解消や地域活性化、伝統知識・技術の継承、都市と農村の交流促進などを目的としています。種まきや収穫、除草などの農作業はもちろんのこと、農業や農産物をPRする活動など、農業や地域社会の発展を目指した活動を行っています。
農業ボランティアの種類
農業ボランティアには「長期間型」と「短期間型」があります。それぞれの特徴や作業内容について詳しく説明します。
長期間型
長期間型の農業ボランティアは、農繁期に数週間から数か月程度、ボランティア活動を行います。宿泊する場所や食事が提供され、一定期間住み込みで働くケースもあります。
とくに4月から10月頃にかけては、農作物の栽培、収穫時期が重なります。そのため、この期間に長期間型の農業ボランティアの募集が多く出されます。お米を育てている農家であれば、育苗や田植え、稲刈りのお手伝いを、野菜を育てている農家であれば、初夏から秋にかけての収穫のお手伝いを、数か月単位で募集しています。そのほか、土づくりや種まき、農作物の選定作業などのボランティアもあります。
長期間型は活動期間が長いため、農業の知識や技術を自然と身につけることができるでしょう。また、農業が自分に合っているかを知る機会にもなります。
短期間型
短期間型の農業ボランティアは週末や長期休みに開催されることが多く、田植えや収穫などの体験に参加できます。前日に農家の方から作業の説明を受け、当日は1日かけて農業を体験することが多いようです。
短期間型のボランティアには参加費用が必要な案件もあるので、詳細を事前に確認しておきましょう。
農作業を体験してみたい人や、長期間型ボランティアを検討している人は、まず短期間型ボランティアに参加してみるのがおすすめです。
農業ボランティアに参加するメリット
ボランティアとして農業を体験することの良さはどんなところにあるでしょうか。農業ボランティアに参加するメリットを4つ紹介します。
収穫が楽しい
農業ボランティアを通して、実際に収穫を行った多くの人から「楽しい!」という声が上がっています。野菜や果物、お米などの収穫は、普段はなかなかできない体験です。
また、体験によって、普段当たり前のように食卓に並んでいる食材がどのように育ち、収獲され、私たちのもとに届くのかを身をもって実感することができます。
就農の際有利になる
農業に興味がある人は、学生時代に農業ボランティアに参加することで、就農の際にとても有利になります。ボランティアでの経験から、自分がどの分野の農業を行いたいかを決めやすくなったり、ボランティアでつながりを得た農家に知識や技術を教えてもらえたりすることで、就農を目指す足がかりとなるでしょう。
農業の知識を学べる
プロの農家のもとで農作業を行うので、農業についてのさまざまな知識を学べます。独学でも農業に関する知識は多少得られますが、プロにしか分からないノウハウを得る機会はなかなかありません。農業の年間サイクルや、農作物ごとに異なる育て方のポイントなど、経験を積んだ農家にしか分からない知識を直接教わることができるのは、農業ボランティアの大きなメリットです。
また、農業の楽しさや難しさ、やりがいなど、農業を営んでいる人の生の声が聞ける機会でもあるので、かけがえのない体験だと言えるでしょう。
農家経営を学べる
農家を目指している人に欠かせないのが、農業経営に関する知識を得ることです。もちろん書籍などはありますが、長期間型ボランティアに参加すれば農家の経営方法を身近で学ぶことができます。プロの農家から直々に学んだ知識や経験は、将来きっと役に立つでしょう。
農業ボランティアのデメリットは?
農業ボランティアにはデメリットもあります。今回は2つのデメリットについて紹介します。
対価は支払われない
ボランティア活動のため、対価は支払われません。農業ボランティアの一番の目的は、農業従事者の手助けをすることです。そのため、対価を求める人には向かない活動かもしれません。
体力仕事
農作業は、かなり体力が必要な仕事です。慣れない農作業を長時間行うと、予想以上に体力を消耗するでしょう。また、農作業は露出の少ない服装で行うため、暑い季節は大量に汗をかき、気温が低い季節は寒々とした環境での作業となるため、徹底した体調管理が不可欠です。農業は非常に重労働であることを理解したうえで、農業ボランティアへの参加を検討するようにしましょう。
農業ボランティアの探し方
農業ボランティアに参加したい場合は、次の3つの方法で募集を探して自分に合ったものを見つけてみてください。
自治体のHPからから探す
各自治体のHPに、農業ボランティアの募集が掲載されていることがあります。初めて農業ボランティアに参加する人は、住んでいる地域やその付近で募集がないか、自治体のHPをチェックしてみましょう。
具体的には、Webで「農業ボランティア 自治体名」(「自治体名」には希望する地域の自治体名を記載)と入力して検索すると、希望する地域の募集案内にヒットする場合があります。ボランティアの申し込み方法は自治体ごとに異なるため、応募方法や募集要項など、詳細をしっかり確認してから行いましょう。
全国農協観光協会から探す
全国農協観光協会の公式HPには、全国の農業ボランティア、農業体験が掲載されています。短期間型ボランティアの募集が多く、どの体験も早い段階で定員に達することがほとんどです。HPはこまめにチェックしておきましょう。
ボランティアを探す際は、開催月、行先、出発地、旅程日数などの条件を指定して検索します。また、ブランド(企画内容)ごとに目的が異なるため、自分の希望に沿ったブランドにチェックを入れましょう。
「猫の手農援隊」は人手不足に悩んでいる農家のお手伝い、「食育探訪」は農家から農業と食文化について学べる体験、「田舎暮らし体験」や「ふるさと交流体験」は、実際に農山漁村地域を訪れ、地域に密着し、農業体験を行ったりその土地の文化に触れたりできる体験となっています。
ポータルサイトから探す
農業ボランティアを募集しているポータルサイトも複数あります。それぞれのサイトで募集内容が異なっているので、いくつか見比べて応募を決めるのもいいかもしれません。
おすすめのポータルサイトは、activo(アクティボ)、ボランティアプラットフォーム、とうきょう援農ボランティアです。
activoの場合、まず「エリアを選択」をクリックして希望の都道府県を指定し、「テーマを選択」欄で「環境・農業」を選択します。「対象年齢を選択」では、「大学生・専門学生」「社会人」などからご自身が該当するものを選択してください。検索ボタンを押すと、対象の農業ボランティアが表示されるので、実際に体験したいボランティアがあれば応募に進みましょう。
ポータルサイトには、小学生からシニアの方まで体験できるボランティアが多く掲載されています。農業ボランティアはもちろん、環境保全を目的としたボランティアや、農地再生、古民家のリノベーションなど、さまざまな活動がありますので、そちらもぜひ併せて探してみてください。
農業ボランティアを始めてみよう
農業ボランティアは、自然と触れ合いながら農業の楽しさを知ることができ、さらに地域の方との交流もできる貴重な体験です。都合に合わせて期間を選択することもできるので、まずは自分が取り組めそうなものからチャレンジしてみてください。
将来、就農を考えている人も農業を趣味として楽しみたい人も、この機会にぜひ農業ボランティアを始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事は2023年4月4日時点の内容です。